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採血管の種類

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採血管の種類

病院で採血する時によく使われる採血管の種類について解説します。

生化学検査用採血管

・目的

 血液から血清を分離するための採血管です。

 血液には血球成分と血清成分が含まれており、

 血清成分を分離するために使用します。

・内容物

 血球成分を固まらせるために、凝固促進剤が含まれています。

 血球成分と血清成分を分離するために、分離剤が含まれています。

 遠心により上層:血清、中間層:分離剤、下層:血球に分離します。

・検査する項目

 タンパク質、脂質、酵素電解質、金属など

血算用採血管

・目的

 赤血球などの血球数を検査する採血管です。 

・内容物

 抗凝固剤であるEDTA-2Kが含まれています。

 血液は放置すると凝固してしまい、血球数が検査できなくなるため、

 血液の凝固を抑えるために抗凝固剤が含まれています。

 

 非可逆的にカルシウムをキレートし、抗凝固作用を発揮しています。

 キレートはEDTAなど配位子がカルシウムなど金属イオンと結合し、

 キレート錯体を形成することを言います。

・検査する項目

 赤血球数、白血球数、血小板数など

 白血病細胞の細胞表面マーカー、mRNA定量、遺伝子変異解析など

血糖検査用採血管

・目的

 グルコースを検査する採血管です。

・内容物

 グルコース分解阻止剤フッ化ナトリウムが含まれています。

 グルコースは赤血球内の酵素で分解され、採血後から下がり続けます。

 そのためグルコース分解阻止剤が含まれ、採血後すぐに遠心して血球を分離します。

 抗凝固剤EDTA-2Naも含まれています。

・検査する項目

 グルコースHbA1cなど

凝固検査用採血管

・目的

 凝固時間、凝固因子を検査する採血管です。 

・内容物

 抗凝固剤として3.2%クエン酸ナトリウムが含まれています。

 クエン酸ナトリウムは水溶液のため、血液が薄まってしまいます。

 結果報告時に薄まる分を補正するため、血液は規定量を入れる必要があります。

 血液:クエン酸ナトリウム = 9:1となる比率が規定量です。

 

 可逆的にカルシウムをキレートすることで、抗凝固作用を発揮しています。

 EDTAが非可逆なのに対して、クエン酸ナトリウムが可逆的である理由は、

 凝固時間は塩化カルシウム等を添加して意図的に凝固させるため、

 後ほど検査する際にカルシウムが必要となるためです。

・検査する項目

 APTT、PT、フィブリノゲン、D-ダイマなど