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PCR検査の原理

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PCRの原理

新型コロナウィルスで話題になっているPCR検査の原理について解説します。

※概要を掴めるよう細部を削り、簡易化している点ご了承下さい。

PCR (ポリメラーゼ連鎖反応)

PCRとは特定のDNA領域のみを増やすための反応です。

温度を上下させ、プライマーDNAポリメラーゼを用い、目的のDNAを増やします。

・大きく分けて、変性、アニーリング、伸長の3段階からなります。

変性

・温度を上げて、熱によりDNAの2本鎖をほどき、DNAを1本鎖に変性させる段階です。

・簡単に書くと、2本鎖()を1本鎖(- -)にする段階です。

アニーリング

・温度を下げて、プライマーを各1本鎖DNAに結合させる段階です。 

・プライマーとは増やしたいDNA領域と相補的なDNA断片です。

・増やしたいDNA領域にプライマーが相補的に結合します。

伸長

・温度を上げて、DNAポリメラーゼによりDNA鎖が伸長される段階です。

・プライマーを出発点として、DNA鎖が伸長し、DNA2本鎖が再び形成されます。

・簡単に書くと、1本鎖DNA(ー ー)を2本鎖DNA(= =)にする段階です。

 

・以上をまとめて簡単に書くと、以下のようになります。

 ① DNA2本鎖を変性させ1本鎖DNAにほどき② 再び2本鎖DNAを形成する

   = → ① - - → ② = =

 PCRではこの工程を繰り返して、増やしたいDNA領域を増やすことで、

 目的の遺伝子を定量したり、目的の遺伝子が存在するかを定性することができます。 

 PCRを用いる検査項目

感染症

・ 微生物の核酸定量やジェノタイピングなど、微生物の核酸定量・検出する検査です。

・ウィルスには核酸の種類によりDNAウィルスとRNAウィルスが存在するため、

 RNAウィルスの場合は逆転写反応(RT)RNAをDNAへ逆転写する工程が加わります。

・また、核酸定量する場合には、PCRを応用したリアルタイムPCRで検査されます。

・新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)はRNAウィルスのため、

 リアルタイムRT-PCRを用い定量検査されています。

悪性腫瘍

・造血器腫瘍などではmRNA量の定量など核酸定量する場合もありますが、

 固形腫瘍などは遺伝子変異解析で遺伝子変異の有無を定性する場合が多いです。