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イムノクロマト法の原理

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イムノクロマト法の原理


新型コロナウィルスの抗原検査・抗体検査で話題になっている、 

イムノクロマト法について解説します。

イムノクロマト法とは

・抽出液などを滴下した後、15分程度で目視で判定できる簡易・迅速な検査です。

POCT(臨床現場即時検査)として様々な項目の検査キットに利用されています。

・イムノクロマト法は抗原抗体反応毛細管現象を組み合わせています。

・ウィルス抗原検査を例にすると、検査は以下のような流れになります。

抗原抗体反応

・ウィルス抗原と標識抗体が抗原抗体反応し、免疫複合体を形成します。

・標識抗体とは金属コロイド粒子を標識させた抗体です。

・金属コロイド粒子で抗体に色が付くため、免疫複合体を可視化することができます。

毛細管現象

・免疫複合体が毛細管現象で移動して、テストラインの捕捉抗体により補足されます。

・捕捉抗体もウィルス抗原と結合する抗体です。

・免疫複合体(標識抗体+ウィルス抗原)がテストラインで目視されます。

イムノクロマト法の判定

・イムノクロマト法では試料の状態によって毛細管現象が妨げられる場合があります。

 そのため毛細管現象を確認するために、コントロールラインが設けられています。

・コントロールラインには別の捕捉抗体があり、標識抗体と結合することができます。

毛細管現象が生じていれば、コントロールラインで標識抗体が捕捉されるため、

 標識抗体がコントロールラインで可視化されます。

 つまり、イムノクロマト法での結果判定は以下の通りになります。

  陽性:テストライン + コントロールライン

  陰性:コントロールラインのみ

  判定保留:テストラインのみ or ラインなし

イムノクロマト法で検査できる項目

感染症

・新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)抗原・抗体、インフルエンザウィルス抗原など

その他

・妊娠検査薬(hCG)、心筋マーカー(トロポニンI・T)、前立腺癌マーカー(PSA)など