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採血検体の保存条件の影響

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採血検体の保存条件の影響

採血した検体をそのまま冷蔵保存、室温放置した場合の影響について解説します。

※保存条件による影響は採血管、試薬の種類によりその程度が異なります。

 あくまで一例として参照して下さい。

冷蔵保存の影響

・全血のまま遠心分離せずに冷蔵保存すると赤血球膜のNa+/K+ATPaseが失活します。

 この酵素は赤血球内外のカリウム濃度の勾配(細胞内 > 細胞外)を保っています。 

 よって蔵すると赤血球内から漏出するためカリウムが高値となります。

LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)のうち、LDH4とLDH5 が失活してしまいます。

室温放置の影響

・赤血球からの遊離、タンパク質の分解により、アンモニアが高値となります。

・赤血球内の酵素により分解され、グルコースが低値となります。

 ※血糖用採血管は解糖阻止剤を含みますが、数時間で10 mg/dL程度が分解されます。

採血後は直ちに遠心分離を

・このように項目によっては保存条件の影響を受ける場合があります。

・採血後は直ちに遠心分離して血清・血漿を分離する必要があります。