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EDTA依存性偽性血小板減少症

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EDTA依存性偽性血小板減少症

血算用採血管には抗凝固剤としてEDTA-2Kが含まれていますが、

稀にEDTAにより血小板凝集するEDTA依存性偽性血小板減少症が生じる場合があります。

EDTA依存性偽性血小板減少症

機序

・採血管内でEDTAにより血小板が凝集してしまい、血小板数が偽低値化する現象です。

・EDTAによって血小板表面の抗原の構造が変化してしまい、

 その構造と反応する免疫グロブリン血漿中に含まれる場合、

 免疫グロブリンが血小板と結合し、血小板が凝集してしまうと考えられています。

・血球分析装置では通常は血球の大きさで血球を計り分けているため、

 血小板凝集塊は血小板数としてカウントされず、血小板が偽低値化してしまいます。

対応

・対応としては以下の方法が知られています。

 ・EDTA以外の抗凝固剤を含む採血管(クエン酸Naの凝固検査用採血管など)を使用

 ・血算用採血管に抗生物質のカナマイシン又はコリマイシンを添加する

 ・血算用採血管に硫酸マグネシウムを添加する

 ・ボルテックスで撹拌して物理的に凝集塊をほどく

・臨床症状に合わない血小板数低下が認められ、再採血しても解消されない場合、

 顕微鏡による血小板凝集塊の確認が有効となる場合があります。