臨床検査のお役立ち情報

臨床検査技師が臨床検査を勉強する備忘録ブログです

尿酸分解酵素製剤ラスブリカーゼによる尿酸の偽低値化

腫瘍崩壊症候群

 がん化学療法によりがん細胞を急速に破壊した際、細胞の内容物が血中に流出し、

 様々な症状を生じることを腫瘍崩壊症候群と言います。

 腫瘍崩壊症候群の症状の一つとして高尿酸血症が知られています。

 尿酸は血中濃度が高くなると結晶化し、腎臓に蓄積して急性腎不全を生じます。

尿酸分解酵素製剤ラスブリカーゼ

 腫瘍崩壊症候群に伴う高尿酸血症に対しては、

 ラスブリカーゼという尿素分解酵素製剤が投与されます。

 ラスブリカーゼは尿酸を分解して水溶性の高いアラントインに変えることで、

 血中の尿酸値を低下させます。

 市場ではラスリテックという商品名の薬剤がよく使用されています。

採血後検体におけるラスブリカーゼ活性の残存

 しかしながらラスブリカーゼは採血後の検体中でも室温下で酵素活性が残存します。

 そのため採血後の検体でもラスブリカーゼにより尿酸は分解され続けてしまい、

 尿酸が測定感度以下まで偽低値化してしまう場合があります。

 そのためラスブリカーゼ投与患者で尿酸を正確に測定するためには、

 採血後の検体は測定まで氷冷条件で保存しておくのが好ましいとされています。