臨床検査のお役立ち情報

臨床検査技師が臨床検査を勉強する備忘録ブログです

採血管に使用する抗凝固剤

f:id:KensaKun:20200531001755j:plain

採血管に使用する抗凝固剤

採血管に使用する抗凝固剤を、対象とする検体の種類ごとに解説します。

※各項目で使用する抗凝固剤は施設によって違いがあります。

 あくまで一例としてご参照下さい。 

臨床検査で使用する抗凝固剤の種類

・採血管に使用する抗凝固剤は、作用機序で大別すると2種類あります。

EDTA、クエン酸Na、フッ化Na

・血液の凝固に必要なカルシウムイオンをキレートして抗凝固作用を発揮します。

・フッ化Naはグルコース分解を抑える解糖阻止剤としての役割も果たします。

ヘパリン

・血液凝固を抑えるアンチトロンビンを活性化して抗凝固作用を発揮します。

・ヘパリンはPCR反応を阻害するため、PCRを用いる遺伝子検査には使用できません

検体の種類による抗凝固剤の使い分け

全血

・採血した血液をそのまま検査対象とします。

・ただし、血液は採血後に凝固してしまうため、

 全血を使用する際は、検査項目に応じた抗凝固剤が用いられます。

 

 ・EDTA-2K:赤血球などの血球数の検査

 ・バランスヘパリン:血液ガス

 ・3.8%クエン酸Na:赤血球沈降速度 (血沈)  ※血液:クエン酸Na = 4:1 

血漿

・採血した血液を遠心分離し、得られた血漿を検査対象とします。

・全血と同様、抗凝固剤が含まれた採血管が使用されます。

・血清と異なり、血液を凝固させないため、凝固因子が含まれています

 そのため凝固に関する項目の検査に使用されます。

・また一部のホルモン項目の検査にも使用されます。

 

 ・3.2%クエン酸Na:APTT、PT  ※血液:クエン酸Na = 9:1

 ・EDTA-2Na:BNPコルチゾール、ACTH、アルドステロンなど

 ・フッ化Na:グルコースHbA1cなど 

血球

・採血した血液を遠心分離し、得られた血球成分を検査対象とします。 

・全血と同様、抗凝固剤が含まれた採血管が使用されます。

細胞表面の抗原、細胞内の遺伝子、細胞の機能の検査に使用されます。

 

 ・EDTA-2K:細胞表面マーカー、mRNA定量、遺伝子変異解析など

 ・ヘパリン-Na:染色体検査、リンパ球幼若化試験など